「俺としたことが早まったか、一時の感情でこんなガキくさい女と結婚しちまうなんて」


伊織さま、心の声がただ漏れていますが。。


もう少しオブラートに包んでくれたらうれしいです。


「だっせーパジャマだな。色気以前の問題だ」


近所の量販店で買った上下1980円のパジャマです、はい。


「すみません」


私だって、私だって、いまだにこの状況が理解できないくらいにテンパっているっていうのに伊織さまはいつも以上に冷たい。


一体全体、どうして私と結婚することに決めちゃったのだろう。


新海 伊織(しんかい いおり)さまは新海家の一人息子で高校3年生18歳、私の狭い世界の中では絶対的な王子様のような存在だ。


新海家は莫大な財力を持ち一族、系列でさまざまな分野の企業をその傘下におさめている。


もちろん政界、財界にも絶大な影響力を持っているらしい。


そして伊織さまはその由緒正しき新海家本家の惣領息子。