「だからってあんなに何回もお兄ちゃんお兄ちゃんってでかい声で連呼しなくてもいいのに。
かえって怪しまれるぞ」


「それを言うならイオくんの方だって。
どこへ行っても目立っちゃうんだから。
イケメンすぎてほんと駄目」


拗ねたように顔を背けたら、機嫌をとるように髪を撫でられる。


「なんだそれ、褒めてるのかけなしてるのかわからないな」


「・・・」


「そんなにむくれるなよ、可愛い顔が台無しだぞ。そうだ、今夜の宿は恋人ってことで泊まろうか、そしたら安心だろ?」


優しく諭すように言うから、これ以上怒れないよ。


「う、うん、いいの?」


ようやく彼の顔を見たら、苦笑された。


「いいよ、てかそんなことで機嫌直っちゃうのかよ?可愛いやつだな、ほんとにつむぎは」


言って彼は目を細めて眩しそうに私を見つめる。