「俺を信じてほしい。今は我慢しよう。必ず迎えにいくから」


彼は一生懸命私を説得しょうとするけど、私の瞳からはポロポロ涙が溢れる。


「どうして?我慢なんてやだ、会えなくなるのもやだよ」


彼を信じてないわけじゃない。


だけど、この先どうなるのかなんて誰にもわからない。


この時、私は彼と絶対離れてはいけないような気がした。


あの時のように、彼の手を離したらいけないと思った。


「どうして、私達は結ばれちゃいけないの。どうして、こんなに反対されなきゃいけないの?
私が、令嬢じゃないから?使用人の娘だから?
じゃあ、好きにならなければ良かったの?
好きになっちゃいけなかったの?」 


絶望感にさいなまれながら私は彼に問いかけていた。


「イオくんは私以外何もいらないと言ってくれた、私も同じだよ」


私、御曹司のイオくんが欲しいんじゃない。


ただ一人の男の人としてあなたが欲しいだけ。


あの時もそうだった。イオくんが、ひどい怪我をしたあの時も、私は自分自身を責めて、この恋心を呪った。