私の小さくまるまった背中にユリナ様は声をかけてきた。


「いえ、私の方が絶対お邪魔虫ですよね。わかってますから」


胸の中は渦巻く嫉妬で焼きこげてしまいそう。


バルコニーに手をかけてよじのぼろうとしたけど、握力がなくて全然ダメだ。


「つむぎ、何がわかってるんだよ?すこし落ちつけよ。ユリナさんの前で恥ずかしいだろ」


どうせ、私なんて恥ずかしい存在なんでしょうよ。


庭にコソコソ隠れて1人騒ぎ立ててさぞ迷惑だったんでしょ。


もういいよ、イオくんなんて。


ドアの前で立ちつくすイオくんとユリナ様は相変わらず神々しいばかりの輝きで、くすんだ私をますますみじめにさせた。


だから、一刻も早くここから逃げ出したくてベランダから出ていこうとしたけど、いっこうによじ登れない。