「今日だって父の代わりに伊織さんのお父様にご挨拶に伺うために来たの。
そしたら、伊織さんが暗い顔をしてらしたから少しお話を聞いていただけなのよ」


不服そうな顔をする私にイオくんが畳みかけてきた。


「そうだよ、つむぎ。それにユリナさんは俺達のことを応援してくれてるんだ。
婚約破棄のことだって承諾してくれて、ユリナさんのお父上を説得してくれてるんだよ」


イオくんが言ってることは、以前にも少し聞いたことがある話だ。


そう言えば、何度かユリナ様に会いに行ってたことだって、教えてもらっていたんだ。


だけど、こんなお似合いの2人を並べて目の当たりにしたら、理屈じゃ割り切れないものを感じてしまう。


どんな説明をされても私が眉間にシワを寄せた頑なな態度だったから、2人は顔を見合わせる。