一途な御曹司と16歳の花嫁

父の話では、私は彼にはほとんど相手にされず話しかけても冷たくされてたって聞いていた。だからだろうか、私には彼の子供の頃の面影すらはっきりとは思い出せない。


そもそも彼と私のことを馴れ馴れしく幼馴染だなんて思ってはいけないんだ。


彼と私とでは天と地ほど立場が違うし、別世界の人間なんだから。


それほど、彼は私にとって、いや我が家にとっては雲の上の存在。


大恩ある新海家の御曹司、私にとっては伊織さまは気軽に近寄ってはいけない存在だった。


「あの、そんな風に言っては私が父に叱られます。伊織さまはお友達ではありませんし。我が家にとっては、主人にあたる方ですから」


「フッ、聞いたか?南。つむぎは父親似で頭が固いだろ?」


不服そうに唇を尖らせる伊織さま。


だけど南さんは、ハイともいいえとも返事をしなかった。


「俺は、友達だって思ってたよ、留学して離れ離れになってからも、だけどお前は」


彼が寂しそうに呟いた時にちょうどメイドさんが、私のミルクティーとアップルパイを運んできてくれた。