やっばり、諦めなきゃダメなのかな。


こんな人に勝てるところ私には、ひとつも無いよ。


それが、彼のためなら仕方がないのかな。


「つむぎ、つむぎ」


イオくんは今にも泣きそうな顔で、私の名前を呼んで手を握ってくれている。


彼の方が私よりもずっと辛そうに見える。


「も、だいじょぶです」


紙袋を口から離して、私はおずおずと呟く。


すっかり息をするのが楽になっていた。


改めて見ると、ユリナ様はやはり絶世の美女で男の子みたいな変な格好をしてる自分が急に恥ずかしくなる。


イオくんのことを心配して様子を見にきたけど、彼は楽しそうに他の女の子と話してた。


一枚の美しい絵画の中に入り込んでその調和を乱している私は、完全に邪魔ものなんだろうな。


「つむぎ、本当にもう大丈夫?」


「・・・」