一途な御曹司と16歳の花嫁

父がこのお屋敷を出て行くと聞いて頭が真っ白になって無我夢中で父に懇願した。


「つむぎ、父さんとの約束は忘れたのか?」


「ごめんなさい、ごめんなさいでも私は」


大切な家族を守りたかったはずなのに。


私はいつしか伊織さまへの気持ちが抑えられなくなってしまっていた。


自分のことだけを考えて、なんてひどい娘なんだろう。


だけどやっぱり、私は彼を裏切りたくないの。


涙が溢れて止まらない。


お父さんへ家族へ申し訳なくて、胸が張り裂けそう。


ごめんなさいと何度も何度も謝って泣きじゃくっていた。


別れることを覚悟して期待しないでいたはずなのに。


私は昔のままの無力な子供のままでいたくなかった。


彼と一緒に、同じ夢を追いかけて、未来を目指したかった。


たとえそれが、叶わない夢でも。


「つむぎ」