「これまで、お世話になりましたご恩をこんな形で返すことになってしまい申し訳ございません」
「お父さんっ」
ドアの外で黙って聞いていた私は、我慢できなくて部屋に飛び込んでいた。
そこは私が初めて足を踏み入れる旦那様の書斎だった。
奥の上座には旦那様がいた。
ずっと以前に見た時よりも少し白髪が増えていて痩せているようにも見えた。
肩ではあはあと息をしていて、額の汗を拭っている。
その旦那様に深々と頭を下げる父。
その前にはイオくんが直立不動で立ち尽くしていた。
この異様な空間の中に飛び込んだ私は、父の腕にしがみついて思わず叫んでいた。
「嫌だよ、お父さん。ここを出て行きたくない」
「つむぎ、旦那様の前で無礼だぞ」
父はいきなり入ってきた私に困惑しつつ、それでも低い声で私をたしなめる。
「でもでも、私、伊織さまのそばにいたい。別れたくない」
「お父さんっ」
ドアの外で黙って聞いていた私は、我慢できなくて部屋に飛び込んでいた。
そこは私が初めて足を踏み入れる旦那様の書斎だった。
奥の上座には旦那様がいた。
ずっと以前に見た時よりも少し白髪が増えていて痩せているようにも見えた。
肩ではあはあと息をしていて、額の汗を拭っている。
その旦那様に深々と頭を下げる父。
その前にはイオくんが直立不動で立ち尽くしていた。
この異様な空間の中に飛び込んだ私は、父の腕にしがみついて思わず叫んでいた。
「嫌だよ、お父さん。ここを出て行きたくない」
「つむぎ、旦那様の前で無礼だぞ」
父はいきなり入ってきた私に困惑しつつ、それでも低い声で私をたしなめる。
「でもでも、私、伊織さまのそばにいたい。別れたくない」



