お屋敷の門が開く音がして、玄関に3台の車が入ってきた。


私はビクッと体を震わせた。


屋敷中の人達が一階玄関へ集まっていくのが足音だけでわかる。


そのものものしい雰囲気は明らかに、旦那様がお帰りになったことをあらわす。


そして聞き覚えのある、お帰りなさいませという声。


「イオくん」


彼の制服の袖口を無意識に握る。


「つむぎ?どうしたんだ?また気分が悪くなったのか?」


だけど彼は冷静で、それよりも私の体調を気遣う方が先みたいだ。


「違う、あの」


「顔色が悪いな」


「大丈夫。それより、旦那様と」


「うん、そうみたいだな」


「うちの父の声もした。どうしょう」


体中から汗が吹き出るのがわかる。


「どうしょうって、なにが?」