ちょんちょんと彼の手をつついて、上目遣いに見つめてもあまり効果がない。


でも新婚なんだし。ちょっとくらい甘い雰囲気になったりしてもいいのに。


「つむぎは集中力がないな、他のこと考えてるだろ」


「そんなんじゃないもん」


図星をつかれてドキッとした。


今日はまだ一度も触れ合っていないから。


ギュッてしてくれたら、やる気倍増しちゃうんだけどな。


なんてね。


女の子からそんなこと言えません。


「これ、全部終わってからな」


「うえー、まだまだかかっちゃうよ」


「頑張ろ」


「はあい」


文句を言っても仕方ないので渋々頷く。


けれどこんな、なんでもない幸せなひと時は、この後こなごなに壊されることになる。