私が彼のいとこの正臣に襲われたことは、私の両親を震撼させ伊織さまに対する信頼さえも奪ってしまった気がする。


彼はなんにも悪くなんてないのに。


あんな大騒ぎになってしまっては隠しきれるものではなかったようで、新海家は各方面へのお詫び対応に追われているらしい。


伊織さまは悪くなくても、新海家のパーティーで起きたゴタゴタだったし、喧嘩をしたのが伊織さまといとこだったという事実がある。


後から聞いた話だと、分家であるいとこの正臣は、昔から本家の伊織さまを目の敵にしているらしい。


新海グループにおいては、本家と分家では天と地ほどの格差があるそうだ。


あの日、調理場へカートを運んで行ったはずの私の様子を見に来た伊織さまは、私の姿が見当たらなかったから不審に思ったらしい。