そんなことを、ぼんやりと考えたら胸の奥に
小さな痛みが走ったような気がした。


みんな華やかなパーティードレスで、私とは別世界のご令嬢ばかり。


彼はパーティーへは遅れてやってきていたようで、私はあまりの忙しさに全然気がついていなかった。


伊織さまは今日も綾小路ユリナ様のところへ行っていたようだ。


大人っぽい高級スーツを着こなした彼はいつにも増して素敵で、私も見惚れてしまいそう。


あ、髪型もいつもと違って前髪を少し後ろに流しているみたい。


いつもの感じも好きだけど、今日のもいいな。


ふうっと我が夫に目を奪われてため息なんてついてしまった。


奥様の隣にいる彼は年配の紳士に挨拶をしているみたいだった。


そんな彼を見ていたら、知らない人みたいに見えてちょっとだけ寂しかった。