「つむぎもあの頃の方がよかったのか?」


真剣な目で私を見てくるから、少しだけ困る。


確かに少年の彼は清らかで美しい、けれど今の私にとっては目の前の彼が。


だけど、一瞬浮かんだその言葉を口にするわけにはいかない。


「いえ、伊織さまはあの頃と変わってはいませんから」


だから曖昧な返事をしてニコッと笑った。