一途な御曹司と16歳の花嫁

私の頬を両手で挟んで、彼は私の瞳を怖いくらいじっと見据える。


「俺を見ろ、どこも怪我なんてしていないピンピンしてるだろ。
なにもなかったんだよ、それはただの夢なんだ、夢なんだよ」


力強く言われてギュッと抱き締められた。


「伊織さま?どうして」


「大丈夫か?怖い夢を見たんだろ?もう心配しなくていい。
俺がそばにいるから」


優しく笑いかけられてようやくこれが現実の世界なんだと知って、胸をなでおろした。


目の前の彼は、彼の言う通りどこも具合の悪いところなんてない健康体だ。


「そうだ、私寝ちゃってて。そっか、夢か。怖い夢」


本当になんて恐ろしい夢だったんだろう、はじめの方はそうでもなかったのにな。


「そうだよ、凄い汗だ、涙も」


言って彼がポケットからハンカチをとり出して私の顔にあてる。