一途な御曹司と16歳の花嫁

懐かしい、慕わしいその方は伊織さまが留学してすぐにお亡くなりになってしまわれた。


子供の頃の私は悲しくて何日も何日も泣いていた。しばらくは思い出の詰まったお庭のお手入れもできないほど深いショックを受けた。


あの優しい方は私にたくさんの言葉をくれた。


「つむぎちゃん、元気を出して。大人になっても二人が同じ気持ちならきっと道は開けますよ。あきらめないで、信じてやって頂戴」


その写真に触れた時ふとおばあさまが私に言ってくれた言葉の一つを思い出せたような気がした。


だけど、あれはいつどんな時に私にかけてくれたのかということまでは、やはり思い出せなかった。


「おばあさま」


私はまだ何かを思い出せていない気がしてならない。


何かとても大切なことが心の奥深くに閉じ込められているような。


だけど同時に決してそこに触れてはいけないような恐ろしい感覚も感じていた。