藤色の薔薇が色鉛筆で描かれている。


どうしてこんなものをわざわざ飾ってあるんだろう。


だけど、右下にひらがなで「つむぎ」って書かれていたからびっくりした。


もしかしたらこの絵は私が描いたものかもしれない。


そんなことも忘れていたなんてちょっと恥ずかしい。


それに、私の子供の頃に描いた絵をこんなに大事そうに飾っているなんて、なんだかこそばゆいような気分だった。


それにしても、描いた記憶が無いなんて。それにこの藤色の薔薇は新海家のお屋敷にはないはず。


いったいどこの薔薇の花を見て描いたんだろうか。


ああ、ダメだやっぱり思い出せない。昔のこと、特に彼のことを思い出そうとすると頭にモヤがかかったような変な感覚に襲われるんだ。


ここ最近になって子供時代の彼と私のことを必死に思い出そうとしてみたんだけどいつもそんな感じだった。