淡々と話す南さんはチラチラと私の反応を盗み見て言葉を選んでいる。


「おわかりですか?」


「えっとつまりは、伊織さまは夜な夜な女性と会っているから私にはもう少し危機感を持てということですか?」


要約すれば南さんは、伊織さまが浮気してると言ってるようにしか聞こえなかった。


でも、まさか彼がそんなことをするようには思えない。


だって、ついこの間私の親に頭を下げて私を欲しいと言ってくれたばかりなんだし。


さすがに、あの言葉に嘘があったのなら人間不信で寝込んじゃうよ。


「いえ、そのようなことは申しておりません。とんだ失礼をいたしました、若奥様、ささっ、お部屋で伊織さまのおかえりをお待ち下さい」


なぜか、満足げにニッコリ笑った南さんは言いたいことだけ言って仕事に戻っていった。