一途な御曹司と16歳の花嫁

伊織さまの普段の生活を知らない私にはあまりピンとこない話だったけれど、大金持ちの跡取りともなれば学ぶべきことも多くて大変なんだろうなと漠然と思った。


「ええ、もうそれは分刻みのスケジュールがおありなんです。それなのに、毎晩ふらふらとどこぞで遊んでおられるのやら」


チラッと私の反応をさぐるような瞳を投げた南さんは、また小さくため息をつく。


「い、忙しそうですね、伊織さまは」


同調するような返答をしたつもりだったけど、彼は首を振る。


「つむぎ様は本当に呑気でいらっしゃる。いや余裕があるんですかね」


「えっ、私がですか?」


奥歯に物が挟まったような言い方をされてもよくわからない。


「あのう、何か私におっしゃりたいことがあるんですか?」


「・・・いいえ、何もありませんが」


「はっきり言ってもらってもいいですよ」