「つむぎちゃんっ、来てくれてありがとう」


お屋敷の玄関ドアの前で、奥様が待っていてくれた。


歩いて2分のいわゆるスープの冷めない距離にある嫁ぎ先と我が家。


私の顔を見た途端にホッとしたように溢れる笑顔。


「い、いえすみません。ご無沙汰してしまって」


「いいのよ。2人が喧嘩でもしてるんじゃないかって心配していたの。
伊織に聞いても、ラチがあかなくて。ほっておけなんて言うものだから頭にきちゃって」


「・・・」


「でもあの子最近帰って来るのが遅しい毎日疲れたような顔をしてるからどこで何してるのか聞いたんだけど、答えなくて」


奥様は眉を潜めてご心配を吐露された。


私が初夜の翌日から実家に戻ってしまったので1人でお悩みになられていたのかと思うと申し訳なくなる。