それから1週間は何事もなく過ぎていった。


あの日から1度も新海家のお屋敷へは足を踏み入れていないし、伊織さまにも会っていない。


大金持ちの御曹司の妻になったとは思えないほどのいつもどおりの生活をこなしていた。


いつも通りの16歳の高校生としての日常。


変わったことと言えば私に送り迎えの車がついたことくらい。


だけど、その車で伊織さまが一緒に乗って登下校するわけではなかった。


なぜだかわからないけれど、彼は朝一に立ち寄る場所があるらしくて先に別の車でお屋敷を出発して、帰りも先に帰ってしまわれる。


なにやら帰りもどこかへ立ち寄っていて、お屋敷には夜遅くに帰ってくるんだとか。


初めの3日ほどは父への遠慮もあって自分からお屋敷へは伺おうとは思わなかったのだけど、さすがに4日めあたりから気になりだした。