「傷モノだなんて、ほんとに古いわねぇ。今時の高校生だったら」


「ち、ちがう、ちがう。お母さんお父さん昨夜はそんなんじゃないの、伊織さまとはなんにもなかったから、だからだから」


両親が娘の初夜のことを誤解してこれほど揉めてしまったものだから、私もしかたなく昨夜の詳細を説明した。


親にこんな言い訳めいた説明をしなきゃいけないなんて恥ずかしくて湯気がでそうだけど仕方ない。


「本当かい?つむぎ」


瞳をうるうるしていた父は、さっきとうって変わって天の助けとばかりに顔を輝かせる。


「うんうん、なにもしてないよ。別々の部屋で寝たの、だってまだ高校生だし伊織さまもそれはわかってくださって」


微妙に嘘を混ぜてしまったけれど、キスはしちゃいましたとは口が裂けても言える状況じゃない。