「つむぎのためなんだ、ぜんぶ」


「そんなっ、じゃあ全部嘘だって認めるんだね?」



「こうなってしまったのは父さんの責任だ、だが必ず伊織さまとは別れられるようにちゃんと考えてあるから」


父の返答は私の問いかけに応えるものではなくて、微妙に論点をずらしている。


「待ってよ、私が聞きたいのは彼のことで」


ガチャリ


ドアが開く音がしたかと思うと母が血相を変えて入ってくる。


「つむぎ、どうしたの?大声をだして、廊下まで筒抜けよ」


「・・・」


「それにつむぎらしくもない。お父さんは安静にしなきゃいけないのよ。
もっと大事にしてあげてちょうだい」


「あ・・・」


俯いた父の顔色はあまり良くないことに、この時になってようやく気がついた。


自分のことばかり考えて、一方的に父を責めてしまっていた。