「お父さん、伊織さまのことなんだけど少し私の話を聞いて欲しいの」


「つむぎ?どうしたんだい?」


病室に戻るなり勢いこんで父に詰め寄る。


母はお花の水を交換しに行ったみたいで病室には居なかったから、今のうちに急いで父と話をしようと思った。


父は驚いたように私を見返す。


目も鼻も口も小さくて優しそうな顔立ち。


今年で43歳になるからすっかりおじさんだけど、童顔のためか若く見える。


私はよく父にそっくりだと言われる。


思春期でさえあまり親に反抗したことがなかったから、今から自分の感情をぶつけることを一瞬だけ躊躇した。


しかも相手は入院中の病人だ。


だけど、私はこの前父と電話で話した時からずっと感じていた気持ちをどうしても言いたかった。