一途な御曹司と16歳の花嫁

ハンカチを目頭にあてたら凄くいい香りがした。


彼が触れ合うくらいに近くにいたので、恥ずかしくて後ずさりする。彼からも同じ香りがした。


あれ、この甘くて気品ある香りは。


薔薇の香り、香水かな?


もしかしたら伊織さまも薔薇がお好きなのかもしれない。


私と同じだ。私も幼い頃から薔薇の花が大好きだった。


なぜだろう、好きなものが同じかもしれないと思うだけで胸がキュッと鳴った気がした。


そして彼は泣き出した私が落ちつくまで黙ってそばに居てくれた。


「今日は、なんの日か知ってるか?」


少しだけ、彼の声のトーンが優しくなったような気がした。


「いえ、知りません」


「そうか、つむぎにはどうだっていいんだろうな」


「あの、お客様が来られるんでしょうか?みんなが騒がしかったので」