「あのドレスって、どんな?」


「はい、奥様。もちろんウェディングドレスでございますよ」


嬉々として答える採寸係の女性。


「そんな・・・」


目を白黒させて言葉を失う。


どうしょう、知らないうちに結婚式の準備が進んでいるんだ。


籍を入れるだけじゃなくて、きちんと式まで挙げるつもりだなんて。


伊織さまが、やっぱりわからないよ。どうして私なんかとそこまでしょうとするんだろう。


それは近々なのかそれとも2ヶ月先のことなのかはわからない。


けれど、いよいよどうしょうって気持ちが増すばかり。


まさか、式まで挙げるわけにはいかないよ。早く父と相談しなくては。


とにかく2ヶ月先まで結婚式は先延ばしにしてもらわないといけない気がしていた。


そんなことをぼんやりと回らない頭で考えていた。