お嬢様だなんて言われたのは、生まれて初めてで顔が熱い。


伊織さまの妻だと紹介されたから、私のこともどこかの令嬢だと勘違いされたのかも。


「こんな可愛らしいお嬢様にご来店いただけて光栄です」


ニコニコ優しく笑う石田さんは、営業トークなんだろうけれどお世辞だとわかっていても少しも嫌味を感じさせない。


伊織さまもなんだか嬉しそうに笑って私を見ている。


「今日は僕の妻にたくさんプレゼントしてあげたいんだけど、彼女に似合う服を選んでやってくれますか」


「はい、もちろんです。さあ、つむぎ様こちらへ」


促されるまま石田さんについていき、一緒に服を選んでもらった。


どの服も上質な生地に品がよくて、しかもトレンドをはずさないデザイン。


こんなに上品でセンスのいい洋服、雑誌でも見たことがない。