「いらっしゃいませ、新海さま。お待ちいたしておりました」


その店の入り口では、40代くらいの品のいいスーツ姿の責任者らしき女性を筆頭に従業員達が一列に並んでお出迎えしてくれた。


全員、深々と頭を下げてくれるから私も思わず会釈した。


伊織さまは慣れた感じで彼女達にこんにちはと挨拶をする。


「石田さん。オーダーメイドの服とは別に普段着も見に来ました」


「まあ、ありがとうございます。新海さま。オーダーメイドのドレスの方も、ただ今スタッフが全力で作らせていただいております。
まあ、そちらのお嬢様が?」


「はい、妻のつむぎです」


彼の後ろに隠れていた私は石田さんと呼ばれた女性に紹介され慌ててぺこりとお辞儀をした。


彼の妻、だなんてはっきりと言われたらなんだか気恥ずかしくなる。


「あら、なんて可愛らしいお嬢様でしょう」