彼が爽やかに笑いかけてくれたから、私もつられて笑みが零れる。


ビルの一階の1番いい場所にある高級ブティックに真っ直ぐ連れていかれる間も私は、キョロキョロ挙動不審にあたりを見渡していた。


きらびやかなシャンデリア、流行りのコーデが展示されたショーウィンドウ、ブランドの綺麗な小物は最新のものばかりで、それら全てに目をうばわれた。


見たこともない、おとぎの国に迷い込んだ気分で、あまりに場違いで心細くて、繋いでいた伊織さまの手をギュッと握りしめていた。