だからこうして常に警護の人達に守られているんだ。


そんな事情を初めて知って思わず彼の身が心配になってくる。


「伊織さま、もしも危険な目にあいそうになったらすぐに逃げてくださいね」


「いや、智樹が大袈裟なだけでそんなにたいした事件じゃないよ。それに俺がつむぎをおいて逃げるわけないだろ」


彼は困ったように苦笑いしてまた強く私の手を握りなおす。


いわゆる恋人つなぎではないけど、このほうがしっくりくるのは子供の頃にこうやって繋いでいたからなのかも。


「そんなことは気にしないでせっかくのデートなんだから楽しもう。ほらつむぎ、あの店だ」