いつもは、父を手伝って2人で作業しているけれど、お庭のお手入れは毎日やっていたので、慣れたものだ。


植物のお世話は大好きでなかでも、私のお気に入りは 立派な薔薇園だった。


この薔薇園は新海家の方達の目を和ませてくれるばかりでなく、私にとっても思い出と愛着の詰まった花々だった。


綺麗な薔薇にはトゲがあるけれど、取り扱いにさえ気をつければ大丈夫。


鼻歌を歌いながら、お手入れをしていたらいつものように背後から鋭い視線を感じて、背筋が冷たくなった。


二階の1番日当たりのいい部屋の窓から、その人はいつも私を見ていた。


いや、睨んでいた。それはもう心底憎らしそうに。


このまま気づかないふりをしていたいけど、無視するわけにもいかないので、振り返ってその人に会釈をした。


目が合うと、忌々しそうにギッと睨まれた。


こわい、こわいよぅ。


足元がガクガク震えてしまうけど、なんとかぎこちない笑顔をつくった。