頭の部分にハーティム国という国があり、海を隔てて驟雪(しゅうせつ)国という大国がある。驟雪はちょうど龍の上半身辺りに見える地形をしていた。

 そして僕らの国、ルクゥ国も驟雪国に匹敵する大国だ。ルクゥ国は龍の下半身部分に見える位置にあり、龍の手に見える半島があった。その半島は驟雪国とも繋がっているため、半島を巡って諍いも絶えない。

 そしてこれから向う条国は、半島から北東に向かった場所にある小さな島国で、龍の玉のようにほぼ丸い地形だった。

 最南端の国である水柳(すいりゅう)国は、我がルクゥ国と海を隔てた位置にあり、龍の尾のように見える地形をしていた。

 そして、各国にはそれぞれドラゴンと呼ばれる生物が生息している。固有種が多いが、共通のドラゴンも存在していた。でも、その殆どが凶暴で、人間に害をなす。

 軍において、竜狩師(サッシャ)と呼ばれる専属の討伐隊が組まれるほどの害獣だ。

 だが、なかでもラングルと呼ばれるものはおとなしい性格で、発見されると捕縛され、飼われることもある。

 ちょうど馬と同じくらいの体格で、首が蛇のようにうねっていて、人を乗せて飛ぶことが出来るんだけど、まあ、ラングルを飼えるのなんて、王族か上流貴族だけだ。

 僕みたいな中流貴族の出じゃ、まず手に入らない。

 今回の計画には、そのドラゴンという生物が深く関わっていたりする。

 この世界の食物連鎖の頂点に、通称〝魔竜〟と呼ばれるアジダハーカというドラゴンが存在する。

 この魔竜に毎年、世界中で多くの人間が殺されていた。

 僕らの国、ルクゥ国だけでも年間数百人は死んでいる。

 ルクゥ国に生息している魔竜は、東の山間部を住みかとしていて、王都とは正反対の場所だった。だから、王都生まれの僕は魔竜を目にしたことは無い。

 なんでも魔竜は、魂を糧としていて、対象物の魂を吸いだして食べるとか。

 被害を減らそうという計画は、各国でそれぞれ立てられていたけれど、成果は中々上がらなかったようだ。なにせ、竜狩師ですら、手が出せない相手だ。

 その魔竜を倒すために、各国が初めて手を組むことを了承し、此度の召集となったわけだけど……。

世界全ての国が手を組むだなんて、歴史上でも初めての試みだ。

(あ~! わくわくするなぁ!)