それより、響子の時間がどんどん減ってしまう。
『ビニール』なら『ビニール』でいい。
明香を死に追いやった【る】から始まるものは、ちゃんと見つけてある。
しばらく私の顔を見ていた響子は、再び机の中を探し始めた。
「あった」と、手にしているのはやっぱりビニールだ。
そして響子は、にっこりと笑う。
「ビニール袋!」
『ぶくろ!』と強調して言ったんだ。
『クリアです』
アナウンスと同時に「響子!」と、私は気遣ってくれた友人に抱きついた。
【る】で終わるより【ろ】で終わったほうがいい。
だって、すぐにいくつも思いついたし。
物を探していた今までのゲームとは違い、どれにするか考えるのは、気持ち的にも余裕があった。
これも響子のお陰だ。
みんなで協力するなら、こうやって次のひとに良いパスを投げる必要がある。
今、浮かんでいる候補は3つ。
『ろうそく』『ろーぷ』『ろっかー』
このうちの、どれを選ぶのがいいのか?
まだ時間は充分にある。
呼吸を整えて、よく考えよう。
みんなの視線を受けるなか、ふと賢太と目が合った。
腫れ上がっている瞼の下の瞳が__さっと横を向く。
視線を、そらした?