キリク
「しかし、それが私である必要は?」

サラ
「…私の魔法は、強大なものでは自らしか発動出来ず、ある程度のものでは人を介して発動出来るのです。
地下牢からの人の移動、あれはグレイオスを介して行ったものですし、投石の粉砕や地中に仕掛けられた火薬への呼び掛けは、あなたを介して行ったものです。
そして、人を介す際、人によって使える魔法の大きさが異なってくるのです。」

キリク
「つまり…?」

サラ
「そう、あなたは私の力を大いに使える存在なのです。
その器がどうして決まるのかはわかりません…。
しかし、あなたは天に選ばれた者なのです。」

キリク
「…。」

サラ
「…キリク、今あなたの力を多くの者が必要としているのです。」

キリク
「…。」





キリクは沈黙していた。


サラの話を理解した一方で、未だに王への忠誠心を拭い切れずにいたのだ。


そして、そんなキリクは、自らを動かす契機を欲していた。