『神楽葵さんのアカウントではないしょうか？ちがってたら、すみません。』
そんなメッセージが届いたのは三日前のことだった。
なんとも丁寧な言葉で昔の彼からは考えられない。それだけ大人になったという証拠。四年という年月は、私の心と体、そして思考を大人にした。
十九歳。来月二十歳になる私は、アメリカの病院に入院して治療を受けた。
症状に対しての治療だけで、移植手術はまだだ。だけど来月二十歳の誕生日を迎える前に受けられることが決まった。
だけど本当はめちゃくちゃ怖い。
成功確率五十%だって。手術中に亡くなることもあるらしい。
「葵、そんなに気負わないで！ 大丈夫よ！ この私が執刀するんだから！」
主治医の先生はとても気さくな人で、日本からきた私にもフレンドリーに接してくれる。
入院生活四年目の夏、アメリカでの暮らしにもずいぶん慣れた。
だけど、咲がいない現実にはまだ慣れない。
ずっと私の心に棲みついて、ふとしたときに浮かんでくる。
