これが恋だと言うのならば

何組かが走ったあとで、先頭に前園さんが見えた。


どうやら、次に走るらしい。


ここの学校の借人競走は、毎年遊び心と言うやつが満載で、お題がおかしい。


好きな人とか、付き合ってる人とか、タイプの人とか、そんなのばっかりだ。


…何が楽しいんだ、そんなお題を出して。


バンッ!


耳に響くピストルの音が鳴り、前園さんがスタートした。


一生懸命に走り、お題を手に取る。


そして一瞬驚いた顔をしてから、あたりをキョロキョロし始めた。


誰か、探しているのかな。


と思ったら、彼女と目が合った。


そうしたら何故か、彼女はこちらに向かって走ってきた。


「柊君!来て!!」


「え?俺?」


「うんっ!」


言われるがまま彼女に引っ張られてゴールに向かって走る。


「えーと、お名前は!」


ゴールしたらインタビューが待ち受けているらしい。


あー、ほんと…借人競走とか、1番出たくなかった。


「前園 朝陽です!」


「はーい、前園さんねー!お題はなんだったのかなー?」


「えっ、えっと…お題は…」


「お題は〜?」


「す…好きな人…ですっ…!!!」