「ねー冬夜、どーなったの?朝陽ちゃん」


…お前の辞書には遠慮ってもんがないのか?


無いわな。


「んー、難航中かなー?」


「えー、何それ!」


「多分ね、嫌われた」


「えっ!!?何したの!?!」


…無自覚って、いちばん厄介だよね、なんて言った。


八つ当たりだ…。あんなの、八つ当たりだ。


たくさんの人に無自覚に好かれる彼女への、八つ当たりに過ぎない…。


「まあ、ちょっとね。」


「えー、俺、冬夜が落とすに1票入れてんのに!」


「まあ、そのうち動くよ。」


「えー、そのうち?」


なんて、嘘だけど。


もう、彼女と関わる気は、さらさらない。


本当は代償?を受けるのはすごく嫌だけど。


…仕方ないか。


「それより晴真、次英語だろ。宿題やってないんじゃなかったっけ?」


「う、わ、そーだった…。冬夜〜…」


「はいはい。ほら。早く返せよ。」


「せんきゅー」


何となく、窓の外の空を見上げる。


空は雲ひとつない青空で、快晴。


まるで、俺の悩みなんて、世界から見れば、大したことない、と、言われているようで、なんだか無性に目を逸らしたくなった。