今、五十嵐は私の横でタバコを吸っている。

「…………俺はいいと思うぞ」

『…………何が?』

「…………家庭を持つ事だよ」

『………………そうか?』

「……あぁ、家族が出来るって事は、愛情を分かち合えるっつー事だ。そうなれば、幸せなんじゃねぇか?」

『…………あんた、結婚してたの』

「してねぇよ」

いや、今の言い方、完璧に既婚者の人のセリフだぞ。

『…………まぁ、あんたもいつか美人なお嫁さんと結婚できるよ。んで幸せになれるよ』

「なんで俺慰められてるみたいになってんだ?」