殺す少女と堕ちる男達 1

そっか、ナルは知ってたんだね。だからあんな事を言ったんだ。

現実から目を背けるな。か…………

それから僕は何度か深呼吸をして頭を整理した。

そうだ。この人は僕の為にずっと闘ってきたんだ。辛いのは僕じゃない。僕が目を背けてどうするんだよ。

その人の目をしっかり見る。

「…………僕は、ずっと護られてたんだね」

「……葵……」

なんだよ、僕。すっごい幸せ者じゃんか。こんな人に恵まれて。

もう、呼んでも、いいかな。返事、してくれるかな。

「………………おかあ、さん……」

そう言ったら、その人、お母さんの目から、沢山の涙が流れてきた。