殺す少女と堕ちる男達 1

それからしばらくハンカチで目を抑えていた。
ナルは、黙って僕の隣で、ただ静かに背中を摩ってくれていた。その温もりが、どんなものよりも温かくて、気持ちよかった。



『……落ち着いたか?』

「うん、ありがとう」

『目、もう赤くないな』

そう言ったナルの声は、すごく優しかった。

「うん、聞いてくれてありがとね」

『…………葵、頑張ったな』

「え?」

『……辛い想いを思い出してでも、話してくれた。葵は強いよ』

「ッッ、ありがとう、ナル」

何でかな。ナルに聞いてもらって、頑張ったねって、強いねって言ってもらえただけで、心が軽くなった気がした。