殺す少女と堕ちる男達 1

教室の扉を開けると、暗い部屋に射し込んだ光が、黒くて大きなピアノを照らしていた。

自然と足がそっちに向かう。

『 …………いいピアノだな』

そして、蓋を開けて、音を1つ鳴らす。

ポ────ン

静かな部屋に、鍵盤の音だけが響く。

椅子に座ると、ギシッと音が鳴る。

視界を遮るフードを取って、両手を鍵盤の上に置く。

「♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪」

月光第三楽章

頭に浮かんでくるその顔を、打ち消すように音を奏でる。それでも消えないあいつの顔。
それでも浮かんでくるあいつの言葉。


〔 成美、びっくりした?〕


〔成美、愛してるよ〕





〔また会おうね。今度は殺してあげるから〕



あぁ、クソっ