愛するオトコと愛されないオンナ~面食いだってイイじゃない!?

いかにも格式の高そうな料亭だ。
やっぱり、着物を着て来て正解だったかも。



仲居さんに付いて、長い廊下を歩いて行って…



「こちらのお部屋でございます。」



仲居さんが腰を下ろし、襖を開けてくれた。
この中に、あの人がいる…!
そう思うと、私はもう卒倒しそうだった。



気になって見たくてたまらなくて…
でも、怖くて顔が上げられない。
私たちは促されるままに部屋の中に入り、席に着いた。



「本日は、どうぞよろしくお願いします。」

お父さんがそう言って頭を下げ、お母さんと私もそれに倣った。
そして、頭を上げた時…



私の目の前には『あの人』がいた。



私の恋い焦がれる写真の中の『あの人』が……



私の心臓は、激しく脈打った。



あり得ない!
これは夢?
それとも幻覚?
あの写真は、『奇跡の一枚』じゃなかったの?



なのに、今、私の目の前にはあの写真通りの…
いや、なんなら美しさ30%増しのあの人がいる。



やっぱりおかしい。
ソジュン級のイケメンは、一般人にはいないはずなのに…
私は、ほっぺたを思いっきりつねった。



「いたーーーい!」



大声を出してしまった私に、その場のみんなの視線が集まった。