「明日の朝じゃダメですかぁ?」

「こんな土っぽい匂いをつけたままじゃ寝かせられない」


あっ、ヒドい。まあでも、畑仕事したんだしさすがに入ったほうがいいか……。観念しよう。

有無を言わさずお風呂場に連行され、ふたりで入ってもまだまだ余裕のある脱衣所で丁寧に下ろされた。

おぼつかない足でなんとか立つ私に、周さんは若干着崩れたセクシーな浴衣を直して言う。


「着替えを取ってくる。ジャージでいいな? 中で滑って転ばないように」

「はい」


なにからなにまですみません、と思いながら頭を下げ、とりあえず棚の上のほうにあるバスタオルを取ろうと手を伸ばす。

その瞬間、足元がふらついて自分の足につまづくという間抜けな事態が起こった。よろけた身体が後ろに傾く。


「わ、ああっ……!」


思わず声が漏れ、背中から床に向かって一直線。やばっ!と思いながらどうすることもできず、ギュッと目を瞑った。

──ドサッと倒れる音と共に身体に衝撃は来たものの、たいして痛くない。

恐る恐る目を開くと、なぜか藍色の布地が見えた。頭に感じるのは固い床ではなく、しっかりと支えられた大きな手の平。

周さんが、助けてくれた?