見習い夫婦~エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます~

この家でジャージはやめようと思ったものの、パジャマの代わりになる服が今のところそれしかない。だから仕方なく普段通りの格好なのだが、なんとも肩身が狭い。

しかし、私が気にするのはそんなことではないのだ。夜の営みについて、きちんと話し合わなければ。

お互いにローソファに座り、ひとまずお茶をいただく。

周さんは、湯呑を口に運ぶなにげない仕草さえも優美に見えて感服する。日頃からあらゆる所作が綺麗だが、浴衣姿の今はなおさら。

少し気を落ち着けたところで、私は背筋を伸ばし「周さん」と声をかけた。ゆるりとこちらに向けられた切れ長の瞳を見つめ、意を決して口を開く。


「私は、お互いを想う気持ちがないまま抱き合うのは、嫌です。根本に愛がないと、相性の良し悪しは量れないと思うから」


単刀直入に言うと、彼がわずかに目を見張るのがわかった。私はさらに続ける。


「男性は好意がなくても抱けるものかもしれないし、それなりに快感を得られるんでしょうけど、女性はそうもいきません。好きっていう気持ちが大事で、それが相性のよさに繋がるんだと思うんです」


私は決して恋愛経験豊富なわけではないので、「ただの自論ですが」とつけ加えておいた。