見習い夫婦~エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます~

「結婚生活を送るにあたって、身体の相性を確かめておくことは大事だろう。俺は跡継ぎを残さなければいけない。そのための行為を君が苦痛に思うなら、結婚を改めて考える必要がある」


続けられた言葉で、彼と私とではセックスに対する概念が違うのだとわかった。

周さんにとってのそれは、愛を確かめたり、欲求を満たすためだけのものじゃない。一柳家の血を引く後継者を残すための重要な意味を持つものなのだ。

そしてそれは、未来の嫁候補である私が協力しなければ成し得ない。身体の相性が悪ければ、たとえ愛し合えたとしても子作りは苦痛になる。

万が一そうなって私に嫌な思いをさせないために、婚約期間中に確かめておいたほうがいい、ということなのだろう。

こんなふうに考えたことがなかった私は呆気に取られた。

言われてみれば、周さんの意見も一理あるし、私の心身を気遣ってくれるのはありがたい。が、なにかが引っかかってモヤモヤする。

戸惑いを露わにしたままなにも返せずにいると、彼は手を離し、いつも通りの無表情で言い放つ。