見習い夫婦~エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます~

二階に上りきると、周さんの寝室以外はゲストルームになっていて、温泉さながらのお風呂や、パウダールームを完備したトイレ、さらには小さなキッチンまである。

ここだけで生活できちゃうから、休日は一階に下りないかも……なんて、ぐーたらなことを口にしたらまた睨まれそうなのでやめておこう。


ひと通り案内してもらったあと、周さんは彼の寝室の隣にあたる部屋の前で足を止めた。

ドアを開けると、先ほど見たゲストルームとほぼ同じ綺麗な一室になっていた。ベッドがひとつ、ローソファと丸型のテーブル、鏡台などが置かれている。

その床に、見覚えのある段ボール箱がいくつかある。あれはおそらく、私が送っておいた私物だ。

周さんは、持っていた手荷物をソファに下ろしながら言う。


「事前に届いた荷物はここに置いてある。君の部屋として自由に使ってくれ」

「ありがとうございます」


予想はしていたけど、やっぱりホテル並みに素敵なここが私の部屋になるのか。これは汚せそうにない……というより、汚したくない。現状維持できるかも!


「ただ、寝るときは俺の部屋に来ること」

「へっ?」


希望を感じていたそのとき、聞き捨てならないひとことが耳に入ってきて、間抜けな声を漏らした。