見習い夫婦～エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます～

周さんの邸宅はとにかく優雅な空気に満ちている。インテリアは和製アンティークで統一しているし、すべてが高級そうだし、キッチンも居間も庶民の生活感みたいなものがない。

ここで気になるのが掃除だ。こんなに広い家の中を、周さんはひとりで綺麗に保っているんだろうか。お掃除ロボットがいそうな気配もないし。

まさか、今後は私がやることに……？

階段を上る私は軽く青ざめつつ、遠回しに聞いてみる。


「これだけ広いと、掃除がものすごく大変ですよね？」

「それは手伝いを頼んでいるから心配いらない。今後も定期的に来てもらうつもりだ。君の掃除能力が赤点並みだということは重々承知しているしな」


そりゃお手伝いさんがいるよね、と安心した直後、厳しい言葉が飛んできてグサリと胸に刺さった。おっしゃる通り。


「じゃあ、とりあえず自分の部屋の整理整頓をしっかりやります……」


苦笑交じりに言うと、彼はひとつ頷き、「平均点を上回ったら本格的に清掃指導をしよう」と若干怖いことを口にしていた。