見習い夫婦~エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます~

「居心地が悪いか」

「いえいえ、そんなことないです! ただ、豪華絢爛さに驚いちゃって。ものすごく素敵なので」


私は弾む胸を抑えて、えへへと笑った。ここで生活することを考えると、確かに初めは緊張しまくるだろうけど、わくわくした気持ちも大きい。

しかし、そこでふと現実に戻る。これまでみたいに気を抜いた行動をしてもいいものか、と。


「こんなに素敵な家だと、ジャージでウロウロしにくいな……」


ついボソッとこぼしたひとり言を、周さんの耳はしっかりとキャッチしていたらしい。冷めた目でジロリと見られ、ギクッと身体が固まる。


「……好きにすればいい」


お許しが出たものの、目つきの悪さが気になって言葉通りに受け取れない。

なんでそんなに睨むんですか……。いや、もしかしたら本人はそのつもりはないのかも? まだまだこの人のわからないことはたくさんあるな。

とりあえず、ジャージでウロウロするのはやめておこうと結論づけ、「荷物を運ぶついでに部屋を案内しよう」と言う彼についていくことにした。