見習い夫婦~エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます~

そうしてやっと玄関の中へ足を踏み入れると、天井が高いレストランさながらのホールが現れた。

上部には色鮮やかなステンドグラスがあり、白い壁と艶のあるダークブラウンの床や家具がクラシックな雰囲気を醸し出している。


「わあ、すごい……!」


思わず感嘆の声がこぼれた。それと同時に確信する。ここはもはや私が知っている〝家〟ではないと。

目を輝かせて奥へ進むと、豪華なシャンデリアと重厚感のある折り返し階段が目を引く、広々としたリビングダイニングに出た。

和製アンティークなダイニングテーブルや、座面の臙脂(えんじ)色がアクセントになった椅子がうまく馴染んでいる。

和洋折衷な内装は、まさに大正ロマンという感じだ。この階段から、着物や袴に身を包んだご令嬢が降りてきそう。

こういうところで生活してみたい憧れはあった。煎茶道をやっているおかげで和のものには馴染みがあるし、そこに洋風がプラスされたモダンな雰囲気も大好きだから。

うっとりと周りを見回し、幾度となくため息をついていると、ソファに一旦荷物を置いた周さんが声をかけてくる。