彼のほうこそ考え直したくなったかもしれないし、やはりこの話はなかったことに……。
「それでも君が欲しい、と言ったらどうする?」
諦めかけた私の耳に意外なひとことが飛び込んできて、驚くと共に目線を上げた。
一柳さんは相変わらずクールな表情で、今の言葉とは直接関係のない、彼の家の事情を話し始める。
「君ほど複雑な家庭環境ではないが、私も少し厄介な家柄でね。〝華族〟というものを知っているか?」
「華族、ですか。なんとなく聞いたことは……。昔、日本にあった貴族制度のことですよね」
詳しくはわからないが、とりあえずとても裕福な家の方々をそう呼んでいたイメージだ。
一柳さんは、私の返答を聞いて「ああ」とひとつ頷く。
「一柳家も戦前はそう呼ばれていた。つまり、私は旧華族の末裔にあたる」
驚くべき告白をされ、私は目を見開き、後ろにのけ反る勢いで「えぇぇ~っ!!」と叫んだ。
身なりがよくて普通の人とは違うオーラを纏っていると思っていたけど、旧華族だったの!? まさかそんなに高いご身分だったとは!
唖然としてなにも言えなくなる私に構わず、一柳さんは淡々と説明する。
「それでも君が欲しい、と言ったらどうする?」
諦めかけた私の耳に意外なひとことが飛び込んできて、驚くと共に目線を上げた。
一柳さんは相変わらずクールな表情で、今の言葉とは直接関係のない、彼の家の事情を話し始める。
「君ほど複雑な家庭環境ではないが、私も少し厄介な家柄でね。〝華族〟というものを知っているか?」
「華族、ですか。なんとなく聞いたことは……。昔、日本にあった貴族制度のことですよね」
詳しくはわからないが、とりあえずとても裕福な家の方々をそう呼んでいたイメージだ。
一柳さんは、私の返答を聞いて「ああ」とひとつ頷く。
「一柳家も戦前はそう呼ばれていた。つまり、私は旧華族の末裔にあたる」
驚くべき告白をされ、私は目を見開き、後ろにのけ反る勢いで「えぇぇ~っ!!」と叫んだ。
身なりがよくて普通の人とは違うオーラを纏っていると思っていたけど、旧華族だったの!? まさかそんなに高いご身分だったとは!
唖然としてなにも言えなくなる私に構わず、一柳さんは淡々と説明する。



